「クリスタル殺人事件」原題
The Mirror Crack’d
1980年製作
❤️ ミステリーにとっておきのカクテル
「ダイキリ」
レシピ
ラム 60ml
フレッシュ・レモン・ジュース 20ml
シュガー・シロップ 10ml をシェイカーに氷を入れてシェイクする。
好みのフルーツなどを入れて楽しむバリエーションもあり。
アガサ・クリスティが1962年に「鏡は横にひび割れて」(The Mirror Crack’d from Side to Side)のタイトルで発表したものをベースにした作品。
舞台は、1953年。ロンドンの郊外、セント・メアリー・ミードに住んでする老婦人、ミス・マープル(アンジェラ・ランズベリー)は推理好きで有名。映画「スコットランドの女王メアリー」の撮影のため、主演の往年のスター、マリーナ・クレッグ(エリザベス・テーラー)がやってきて町をあげての大騒ぎ。マリーナと、夫で監督のジェースン・ラッド(ロック・ハドソン)が長期滞在するゴシントン荘で歓迎パーティーが開催され、町中の人々がドレスアップしてやってくる。
婦人会のヘザー(モーリン・ベネット)もその一人。マリーナのファンで一度会ったことがあるとベラベラ喋りだす始末。ちょうどその頃、プロテューサーのマーティ・N・フィン(トニー・カーチス)と、妻で女優のローラ・ブルースター(キム・ノヴァック)が到着し、マリーナの表情はこわばる。マリーナにとってローラは、天敵的存在だった。その直後、ヘザーが倒れ亡くなってしまう。
この事件の捜査にやってきたのが、スコットランドヤードの警部でマープルの甥のクラドック(エドワード・フォックス)。 しかし、事件はこれだけではなく秘書のエラ(ジュラルディン・チャップリン)がマリーナに入れたコーヒーから毒が発見されたり、容疑が深まったエラが常用していた鼻炎用の吸入器に毒が仕込まれ、彼女も殺されてしまう。犯人は誰か。マープルの推理が見事に解いていく。
ここで登場するカクテルは、シンプルだからこそ、作り手によって味が変わる「ダイキリ」。女優マリーナ・クレッグが「主人の作るダイキリは最高よ」と自慢し、「特製を二つお願いね」と甘えた口調で頼む。しかも、最初の殺人は、この「ダイキリ」を飲んで‥。
ミス・マープルを演じていたのは、昨年96歳でなくなったアンジェラ・ランズベリー。あえて髪の毛を真っ白に染めて化粧気もほとんどなくゴシップ好で推理好きなマープルに挑んでいたが、実は、エリザベス・テーラーより、7歳上なだけ。
逆にエリザベス・テーラーの役どころは、大女優。大女優が大女優を演じるのだから何の不自然さもない。すみれ色の瞳に合わせた紫のドレスで華やかに登場すると、スクリーン一面に花が咲いたよう。
この大女優をギャフンと言わせようと飄々とやってくるのが胸を強調したピンクのドレスに身を包むキム・ノヴァク。お互いに「シワだらけ」「だの「整形している」だの思いっきり悪態をつくシーンは女優の精神的な余裕や自信を垣間見るようで面白い。
さらにテーラーが鏡を見ながら「たるみよ、たるみ、消えておしまいドリス・ディのもとへ」と。これを聞いてた夫役のロック・ハドソンのきまり悪そうな微妙な表情に映画ファンはニヤリとすることだろう。(R・ハドソンとD・ディはかつてのラブコメディの名コンビ!)
ゴージャスな顔ぶれのミステリーに乾杯!!