「カサブランカ」
原題 Casablanca
1942年製作
❤️ 失恋しても元気になれるカクテル
「フレンチ75」
レシピ
ジン 37.5ml
レモン・ジュース 20ml
シュガー・シロップ 15ml をシェイクし、グラスに注ぎ、冷えたシャンパンを適量に満たす。
シャンパンは、ガスを逃さないように静かにそそぐののがコツ。
第二次世界大戦下の1941年が舞台。フランス領モロッコは、アメリカへ逃亡する人々の寄港地。そこでクラブを経営しているリック(ハンフリー・ボガート)は昔の恋人イルザ(イングリッド・ハーグマン)と再開するが、彼女は、反ナチ運動家の妻だった。リックがとった行動は‥。
昨晩のことを「そんな昔のことは覚えていない」さらに「今夜会ってくれる?」と聞くと「そんな先の事はわからない」
カサブランカで酒場賭博を経営しているハンフリー・ボガート扮するリックの名セリフのひとつだ。男たるもの生涯に一度はニヒルに言ってみたいのでは。
しかし、言われた女性はたまったもんではない。やさしくされた次の日に、さらりとフラれてしまうのだから。しかも、憎めないこんなキザな言葉で。
そこで、プロンド美女のイボンヌは、これ見よがしとカッコいい将校を引き連れてわざとリックに聞こえるように「フレンチ75!!」とオーダーをする。
この「フレンチ75」とは、第一次大戦の勝利を祈ってパリのバーで誕生したもの。当時、最新鋭だったフランス製大砲の口径が75ミリだったことから名付けられたもの。
味は、大砲とは似つかない上品なビターテイスト。映画の舞台が第二次大戦下の仏領モロッコだけに、このお酒が好まれたのは納得。
もちろん、イボンヌが「失恋を吹き飛ばす景気づけに」というのは、見て取れる。
女になびかないニックが唯一愛したのは、反ナチスのリーダーとして名高い男の妻ルイザ。訳ありの二人は、リックの店で再開。過去の誤解は解いたものの、お互いの立場を尊重し、愛するが故にある行動を決断すると言ったラブ・ロマンス。
「時の過ぎゆくままに」をピアノ弾きのサムが歌い、そのムードの中でシャンパンで乾杯するシーン。「君の瞳に乾杯 !」(Here’s Looking at You、Kid)は、脚本ではなくボガートが即興で言った言葉とか。
バーグマンが美しく輝いていたのはもちろん、ボガートの渋い男の魅力は際立っていた。後に、「ボギー! 俺も男だ」(72)で「カサブランカ」のセリフをウディ・アレンが言ってみるが同じようにはいかない。それをアレンは面白がっているが、やはりボガートには誰も迫れないということだろう。
いい男、ボガートに乾杯!