懐かしの「映画の友」

懐かしの「映画の友」 No1

「ボクの英語の先生は映画でしたよ」

と、淀川長治さんから伺った事がある。初めて淀川さんがハリウッドに行った時も、スターが来日した時も、いつも上手く心が通じたそうだ。

それは、ペラペラ英語が喋れるわけではないけど、映画のタイトルを英語でドンドン言うと相手は「おお、私の作品を良く見ている! 」と感激してくれて、話が弾んだわけ、と淀川さんはペロリと舌を出して少年のようにニッコリ。

チャップリンと会った時も、「 The Kid」(キッド)、「Limelight」(ライムライト)といった同名のものから、「Immigrant」(チャップリンの移民)、「The Gold Rush 」(チャップリンの黄金強時代)、「The Great Dictator」(チャップリンの独裁者)、「City Lights」(街の灯)、などダイレクトな訳のタイトルはもちろん、「The IdleClass」(のらくら、後に、チャップリンのゴルフ狂時代)、「Police」(チャップリンの悔悟)、「The Pawnshop」(チャップリンの番頭)など、すらすら出て来たおかげで、すっかり1時間以上も話し込んだそうだ。

また、淀川さんが「映画の友」の編集長をなさっていた頃、読者を集めて基本的な映画の楽しさを学ぶ「友の会」と言う集まりがあった。その第一期生の一人、水野晴郎さんは「映画って本当にいいものですね」とテレビであの言葉のブームを作る前にアメリカでも活躍されていた。水野さんは、英語は「ローマの休日」を何回も何回も繰り返し見て勉強しましたよと、おっしゃつていた。

水野さんの学生時代は、まだDVDどころかビデオも無かった時代。となると、かなり映画館に通ったことになる。

映画から英語、まさに生きた語学。好きな映画をセリフが頭に入るくらい観ると、自然に身に付くなら一石二鳥。いつかやろうと思いながら、時が過ぎてしまった。でも、好きな映画がいっぱいありすぎて、それを考えてるうちに何回も繰り返し見ることの出来る環境にいるのにまた時間が経ってしまう。要はやる気、その気、ナマケモノの自分にカツ!