「シサム」とはアイヌ語で「良き隣人」。そして「アイヌ」とは「人間」と言う意味。人間らしく生きるとは? 尊厳とは? など、今この時代に重ねてじっくり考えさせられるヒューマンドラマだ。
時は江戸時代前期。北海道の南西部に居所を置いた松前藩は、アイヌとの交易品を主な収入としていた。藩士の息子、孝二郎(寛一郎)と兄の栄之助(三浦寛大)はアイヌとの交易で得た品を他藩に売る仕事をしていたが、ある日、栄之助は使用人・善助(和田正人)の不審な行動を見つけてしまうが、そのために殺される。兄の復讐のために孝二郎は善助を追って蝦夷地へ向かうが、彼もまた負傷し、アイヌの人たちに助けられるが「怪我をしたものは魔性が移る」と言われ、長い間足止めに。その間に彼らの文化や風習に触れて少しづつ孝二郎も己の人生を見つめ直していく。
一方アイヌの人々の中には、藩の理不尽な扱いに反発して立ち上がり戦いも始まっていた。
北海道の大自然を背景に描かれたアイヌと和人の交流の壮絶な戦いの舞台になったのは、ふるさと返礼品でもお馴染みの白糠町。 アイヌの伝統的な漁のために白糠町の福祉課の人が鮭を用意したり、役場の人たちがエキストラに登場したりと街を挙げての協力体制。アイヌの家に使用するヨシ(葦)刈りには1年も用したとか。
アイヌの生活やそこで交わされる会話も味わい深い。困っている人がいれば助ける、食べ物は必要以上にとらない、といった当たり前でいて、現代人がすっかり忘れている「地球にやさしい生活」アイヌの人々は、ずーとSDGs !!
幕府に逆らえるのか、長いものに巻かれるのか、人間同士の戦いがいかにムダで無意味なことかをパワフルでスリリングに見せてくれる!
シサム ※ タイトル「シサム」の「ム」は小文字が正式表記
2024年制作 114分 PG12
配給:ナカチカピクチャーズ
監督 中尾浩之
脚本 尾崎将也
出演 寛一郎 三浦貴大 和田正人 板東龍汰 平野貴大 サヘル・ローズ 藤本隆宏 古川琴音 緒方直人 要潤 富田靖子 佐々木ゆか 山西惇
9/13(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
©映画「シサム」製作委員会