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モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン

「モナリザ」と言うとナット・キング・コールの深くて甘い響きと、レオナルド・ダ・ビンチのあの微笑みの絵画を思い出すが、それを全く覆す。女は、ほとんど微笑まず、決して甘い響きでは無いドライな歌い方の「モナリザ」が流れるー。満月の赤い月の夜に精神病院を脱出した女性のお話。

オープニングは、白い部屋に拘束着の女性がうずくまっているシーンからスタートする。女性の名前は、モナ・リザ・リー。12年間ものあいだ隔離されていたのだ。そこに、彼女の爪を切るためにケアの女性がやって来てモナを馬鹿にした口をきき、怒らせてしまう。その女は爪を切るはずのハサミで自分の体を何回も刺してしまう。ここで、オカルト? と思いきや、なんとモナの目力による特殊なパーワーの作用だった事がわかる。その才能は、満月の下で開花して、精神病院から逃げ出すことに成功。
モナが辿り着いた街は拘束着を来ていても、カッコいいと言われるニューオリンズの繁華街。お金もない彼女は、スーパーのレジでファズという男に助けてもらうが、いい奴ばかりがいるわけではない。警官にも追い詰められ、捕まりそうになるが、そこでも、モナに睨まれ、警官は、銃弾を自分の足に打ち込んでしまう。そんなモナに声をかけ家にまで連れてってくれたのが「バンティ・ドロップ」でストリッパーとして働くシングルマザーのボニー・ベル。しかし、彼女もかなりの訳ありでモナの特殊なパーワーを利用する。そんな姿を見て息子のチャーリーは、母親を批判するが‥。

「次世代のタランティーノ」と注目されているアナ・リリ・アミリプール監督作。一見優しそうだが、たくましく勝手気ままに生きるシングル・マザーのダンサーを「あの頃ペニー・レインと」「10日間で男を上手にフル方法」「ライフ・ウィズ・ミュージック」などのケイト・ハドソン。母親・ゴールディ・ホーン譲りのコメディ・センスとキュートさで、今回は大胆にセクシーな踊りも披露。
謎の少女「モナ・リザ 」は、この作品でハリウッド・デビューを果たした韓国人俳優チョン・ジョソン。ずーと笑わないので無表情かと思うと、ほっとしたときや、ドキドキしてる表情は見事。それに、メーキャップするときらりと可愛い。

モナと少年の友情の絆に心打たれる。

原題「Mona Lisa and the Blood Moon」
2023年11月17日(金)ヒューマントラスト渋谷、新宿カリテほか公開 配給:キノフィルズ ©️Institution of Prodactipn、LLC