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ショータイム!

「Show must go on!」が粋に使われる映画がまた誕生。舞台は都市でも繁華街でもホテルでもない農場で。しかも、実話をもとにしたびっくりのヒューマンドラマ。
 
牛のいるのどかなシーンからスタート。三代続いた農場が経営危機のため、差し押さえをされそうになった酪農家のダビッドは、民事裁判所の判事から二ヶ月の猶予を取り付ける。が、何の策もない彼が車を止めた所に戻れず途方に暮れていた時、キャバレーのネオンが目に入りそこで、ボニーというダンサーのアクロバットのような奇抜で艶やかなパフォーマンスに出会う。「これだ!」とダビッドは、農場の納屋を改装してキャバレーを作って成功させようと閃く。
偶然にも、ボニーがキャバレーをクビになった時にダビッドがショーの出演と演出を持ちかける。最初はあまり乗り気では無く渋々農場にやってきたボニーだが、農場の人々の情やダビッドの情熱にほだされ次第に彼女も演出家の意識が芽生えてくる。
ショーのためのオーディションを開くが、なかなか集まらない。ならば、こちらから出向いて才能がある人々を集めようと二人で奔走。その甲斐あってか訳ありのユニークな人材が集まるが、個性も行動もバラバラ。なんとか仲間の協力であと一歩でオープンにこぎ着けるが、思わぬアクシデントが。

出演は、ダビッドに「セラヴィ!」のアルバン・イワノフ。フランスではコメディアンとしても有名なだけに、いい味を出している。
すらりとしたスタイルのダンサー、ボニー役は、社会派作品に多く出演しているサブリナ・ウアザ二。強烈な個性を発揮している。
ほかに、ベランジュール・クリエフ、ギイ・マルシャン。ミシェル・ベルニエなど。

監督は「デルフィーヌの場合」)(98)「ビクトル・ユゴー 笑う男」(12)「奇跡のひと マリーとマルグリット」(15)などのジャン・ピエール・アメリス。

「グレイテスト・ショーマン」「ムーラン・ルージュ」「フレンチ・カンカン」「バンド・ワゴン」「キャバレー」「紳士は金髪がお好き」などショーを取り上げた作品はまだまだあるが、やっぱり、ショーを描いている作品は、いつの時代でも楽しい。

全く街のキャバレーとは違う雰囲気とショーの面白さを味わえ、見終わると笑顔になってしまう作品。今もこの納屋でのショーは続いていると言うから、いつか訪ねてみたいものだ。

2021年製作 原題 Les Folies Fermieres
12月1日より ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開

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