年を重ね幾つになっても心の中にある想い。わだかまりや傷、そして愛など全てを包み込む作品!
2014年の夏、ブライトンの老人ホームから89歳のバーナード(マイケル・ケイン)は長年寄り添った妻レネ(グレンダ・ジャクソン)を置いて一人フランスのノルマンディーを目指す。その理由は、ノルマンディ上陸作戦70周年の式典に参加するため。目的は式典参加だけではなくもう一つ70年間心に秘めていることがあった。
なんとバーナードが行方不明になったという警察のツイート(#The Great Escaper)がきっかけで世界中で話題になった実話が基。このツイートがそのまま原題のタイトルになっている。
旅の途中かつての敵や、全く立場の違う人々と出会うが、年を経た人ならではのテンポと対応に唸ってしまう。
日本語タイトルの「2度目のはなればなれ」は、2度目の二人の共演ということからついたのだろうか。二人とも2度のアカデミー賞歴のあるベテラン。マイケル・ケインは「ハンナとその姉妹」(86)「サイダーハウス・ルール」(99)で共に助演男優賞を、グレンダ・ジャクソンは「恋する女たち」(70)「ウィークエンド・ラブ」(73)で共に主演女優賞を受賞。この二人が「愛と哀しみのエリザベス」以来48年ぶり2度目の夫婦役に挑戦したことになる。
一時政治家としても活躍していたグレンダ・ジャクソンは惜しくも昨年の6月15日に亡くなった(87歳)。一方今年91歳になるマイケル・ケインは、この作品で俳優を引退する決意をしたというので二人にとっては俳優人生の幕を閉じた作品。この二人でなければ表現できない深みのある見事な年の重ね方、演技に酔うはず。粋でハンサムな「アルフィー」のマイケル・ケインを思い出しながら、スクリーンにそれぞれの年代でいい味を出した年の取り方を教わる…。
2度目のはなればなれ The Great Escaper 公開中
2023年制作 96分 イギリス
配給 東和ピクチャーズ
監督 オリバー・パーカー
製作 ロバート・バーンスタイン
ダグラス・レイ
脚本 ウィリアム・アイボリー
出演 マイケル・ケイン、グレンダ・ジャクソン、ジョン・スタンディング、ダニエル・ピタリス、ビクター・オシン、ウィル・フレッチャー、ローラ・マーカス、エリオット・ノーマン
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