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カラーパープル

1983年にピューリッア賞を受賞したアリス・ウォーカーの著書「カラーパープル」がスピルバーグ監督により映画化されたのは、1985年。この年のアカデミー賞10部門、11ノミネートされた話題作のミュージカル化。

1985年当時、あまりにシビアなストーリーで、個人的には、一生に1度見ればいいかなと思っていた。しかし、このミュージカル版は、何度でも見たくなる。

舞台は1909年、ジョージア州。白い砂浜の海辺で姉妹二人のデュエットでスタート。二人は姉のセリーと妹のネティ。ネティは勉強好きで教師を目指していた。一方お腹の大きなセリーは、縫い物をよく教えてくれた母親が亡くなった後、家の仕事などしていた。臨月を迎え出産するが、父親が勝手に子供を取り上げ里子に出してしまう。なんと、それは二人目。しかも、子どもの父親は彼女の父親。
ある時、ミスターと言う男がネティを見そめて結婚したいと父親に申し込むと、父親はセリーを押し付ける。
乱暴者のミスターの家の二人の子供と家事を押し付けられ、セリーは世話に追われる生活。ある日、妹のネティが父親に乱暴をされそうになりネリーのところに逃げてくる。姉妹が再会を喜ぶまもなく、今度はミスターがネティに手を出そうとし、それを拒否したとたん、家を追い出されてしまう。姉妹は、手紙を出し合う約束をして離れ離れに。
しかし、ネティが手紙をいくつ出しても、ミスターが隠し、セリーは手紙が来ていることを知らない。そんな時、自立した強い女性ソフィアと、歌手になる夢を叶えたシュグと出会う。彼女たちの生き方に心を動かされたセリーは少しずつ自分の中の可能性と前向きになることで自分の未来と向き合っていく。そしてセリーはある決心をする。

主人公セリーは、ブロードウェイ版でも同じ役を演じたファンティジア・バリーノ。2004年に「アメリカン・アイドル」第3シーズンで脚光を浴びて以来、R&Bシンガー、ソングライター、作家、俳優として活躍。2011年にグラミー賞も獲得した実力の持ち主。抜群の歌のうまさだ。
ネティ役は、「リトル・マーメイド」(23)のアリエル役で話題になったハリー・ベイリー。彼女の作曲した「keep it Movin’」も劇中で披露される。
セリーが憧れる歌手のシュグ・エイブリーは、「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」でアカデミー賞にノミネートされたタラジ・P・ヘンソン。実に艶やかな存在感。
セリーの義理の娘で、自立した生き方を貫くソフィアに、ブロードウェイ版でも同役でトニー賞にノミネートされ、ドラマ・デスク・アワードとアウター・クリティックス・サークルアワード、グラミー賞を受賞したダニエル・ブルックス。パワフルな明るさが際立っている。
1985年版でダニー・グローバーが演じたミスター役は、「リンカーン」「キャンディマン」などに出演してたコールマン・ドミンゴ。女性に歌を歌ったりするが実は自己中心の乱暴者と言った複雑な役を演じている。
ミスターの息子で、ソフィアの夫ハーポ役は「ストレイト・アウタ・コンプトン」(15)でヒップホップ界のレジェンド、ドクター・ドレーを演じて注目されたコーリー・ホーキンズ。スマートで優しい雰囲気がいい感じ。

プロデューサーは、1985版のソフィア役で女優デビューしたオプラ・ウィンフリー、スティーブン・スピルバーグ、1985年版でプロデュースと音楽を担当していたクインシー・ジョーンズ、それにスコット・サンダース。
監督は、ガーナ生まれのミュージシャン、作家、ビジュアル・アーティストでもあるブリッツ・バザウーレがメガホンを撮っている。
1985年版「カラーパープル 」の主役セリー役で女優デビューしたウーピー・ゴルドバーグが、ほんのちょっと登場する。

女性たちの前向きな生き方がパワフルに描かれ、ブルース・ミュージカルと言いたくなるくらい、心地よいブルースの歌声が心に染み入る。

■タイトル:『カラーパープル』 
■公開表記: 2月9日(金)より全国公開
■配給: ワーナー・ブラザース映画 
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