ケネディ大統領暗殺事件の謎に迫った社会派ドラマ「JFK」(1991)のオリバー・ストーン監督が、新たな証言と調査を重ね独自の視点で作り上げたドキュメンタリー作品。
オープニングは、ケネディ大統領の「peace」という言葉を多用した平和についての演説から始まり、エンディングも「公民権に関する」演説で締められ.る。それだけでも、監督の情熱と敬意が熱く伝わってくる。
あの暗殺事件からちょうど60年、新たに解禁された莫大な機密文書から真相を暴き出していくその過程は実に衝撃的。しかし一方、未だに解禁されないものもあることがわかる。当時、CIAなどの現役だった人は、証言することを阻まれていたことにより、事実はねじ曲げられていた。
綺麗な声で、さらりとナレーションが入ると、上っ面で流れてしまうが、そこは、さすがオリバー・ストーン監督。ちょっと太くざらついた感じのウービー・ゴールドバークの声が疑問を投げかける。後半には、ドナルド・サザーランドの声で、シビアな当時の政治的現状を効果的に伝える。
ケネディ大統領の存在をリアルに知っている人は、もちろん知らない人も見応えはあるだろう。まさにこの謎こそ、世紀のミステリーだ。 ★ 5
原題「JFK Revisited : Through the Looking Glass 」
2023年11月17日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開