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FERRARI フェラーリ

F1好きにとってフェラーリの存在は大きい。必ずしもいつも王者ではないが、フェラーリが活躍すると、なぜかレースが華やぐと思うのは私一人ではないだろう。

エンツォ・フェラーリは、元レーサーにしてカーデザイナーもこなし、自ら自動車会社を立ち上げモータースポーツ界の偉人として「オールドマン」と称されているのも有名なお話。今作は1947年「フェラーリ」を設立、生産台数2台のみでローマグランプリに参戦し優勝。たちまち名を上げ、さらに「ツール・ド・フランス」や「ル・マン24時間」でも優勝。1950年からはフォーミュラー!(F1)世界選手権への参戦も開始と会社も知名度を上げた1957年、エンツォ59歳の1年が興味深く描かれる。

1956年に難病を抱えた愛息ディーノを亡くしたエンツォ(アダム・ドライバー)は会社の共同経営者でもある妻のウララ(ペネロペ・クルス)との夫婦関係がギクシャクしている。その一方愛するパートナー、リナ・ラルディとの間に生まれた息子ピエロとの二重生活をしていた。ところが、それが妻にばれ、二人の女性と息子の認知問題も解決できず、なんと順調だった会社も、業績不振で破産寸前に。
会社と私生活の両方の窮地に立たされたエンツォは全てを投げ打ってイタリア全土1000マイル(1609キロ)縦断の公道レース「ミッレミリア」に挑むが…。

製作・監督は、「ラスト・オブ・モヒカン」「インサイダー」「ALI アリ」「マイアミ・バイス」それに「フォードVsフェラーリ」の製作総指揮もしていたマイケル・マン監督。フェラーリの愛好家でもある!

主演はアダム・ドライバー。「スター・ウォーズ」シリーズのカイロ・レン役では黒ずくめの悪役に徹し、他に数々の映画に出演しているが、最近は、「アネット」で殺人まで犯してしまうスタンダップコメディアンで歌も披露。また、「ハウス・オブ・グッチ」ではスマートなイタリア男、そして「フェラーリ」では実年齢よりも19歳も上のフェラーリを人間味いっぱいに演じている。色々な顔を見せてくれるいい役者だ。

現在のフェラーリの副会長ピエロ・フェラーリが父親にどんなに愛されていたかも、このエピソードで描かれているのも興味深い。色々な意味においてたったの一年間を描いただけでもエンツォ・フェラーリの生き方は衝撃的だ!

クラシックカーレース「ミッレミリア」は1927年から1957年まで行われた伝統的な公道レース。この映画の見どころでもあるが、今では考えられないようなスケールのこのレースを実にうまく見せてくれる。当時のオリジナルカーを数台選んで3Dスキャンし、撮影用のレースカーを作り上げただけでなく、当時限定のオリジナルのベンツ300SLとかフェラーリやポルシェも顔を出しているので車ファンにとってはたまらない!!

『フェラーリ』 原題:FERRARI 2023年 132分

監督: マイケル・マン
脚本: トロイ・ケネディ・マーティン 原作: ブロック・イェイツ著「エンツォ・フラーリ 跳ね馬の肖像」
出演: アダム・ドライバー、ペネロペ・クルス、シャイリーン・ウッドリー、パトリック・デンプシー

7月5日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

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配給:キノフィルムズ