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枯れ葉

引退宣言をして映画ファンをガッカリさせたアキ・カウリスマキ監督6年ぶりの作品は、演じるのは北欧の人たちだが、なんだか懐かしい日本映画を見ているような感覚に。

舞台は、北欧フィンランドの首都ヘルシンキ。スーパーの店員アンサは、賞味期限の切れた商品を持ち出した理由で解雇されてしまう。憂さ晴らしに行ったカラオケバーで出会ったのは、板金工のホラッパ。彼は仕事中も酒が手放せなく現場でもうまくいっていない。そんな二人が惹かれ合うが、お互いに名前も聞かない。いや、聞けずにいる。
しかもそれぞれ理不尽なことやアンラッキーなこともあるが、偶然に会えたらと、日々黙々と暮らしている。そんな孤独だが決して惨めでない二人の心優しいラブ・ストーリーが淡々とつづられる。
映画好きにたまらないのは、さりげなく古い映画のポスターなどが貼られていたりして目でも楽しめるし、チャップリン映画のラストシーン的なユーモアある画面や、名曲「枯れ葉」で締めるあたり大人の心をくすぐる。

時代設定は、決して古くはないが、携帯などですぐ連絡を取るのとは違って、ゆっくりじっくり自分の運命に向き合う男と女。会えるかもしれないと、思い出の場所に行ってみたり、歩いてみたり。そんな時間も結構愛おしいものだ。

出演は、ヒロインのアンサ役は、ムーミンの作者トーベ・ヤンソンを描いた「TOVE/トーベ」のアルマ・ポウスティ。恋に対してはシャイだが言うことはちゃんと言うしっかりした女性を熱演。
書いてもらった電話番号の紙を無くしてしまうちょっとドジなホラッパ役は、「アンノウン・ソルジャー英雄亡き戦場」のユッシ・ヴァタネンが演じている。犬の存在も見逃せない!

第76回カンヌ国際映画祭審査員賞 2023年国際批評家連盟賞年間グランブリ受賞(これでこの賞は3度目)
題名:『枯れ葉』
監督・脚本:アキ・カウリスマキ/撮影:ティモ・サルミネン
出演:アルマ・ポウスティ、ユッシ・ヴァタネン、ヤンネ・フーティアイネン、ヌップ・コイヴ
Photo: Malla Hukkanen

© Sputnik

2023年/フィンランド・ドイツ/81分/1.85:1/ドルビー・デジタル5.1ch/DCP
原題「KUOLLEET LEHDET」 英語題 「FALLEN LEAVES」
12月15よりユーロスペースほか全国ロードショー
配給 ユーロスペース   提供:ユーロスペース 、キングレコード

公式サイト:kareha-movie.com